猫下部尿路疾患(FLUTD)とは
猫下部尿路疾患(FLUTD)の症状
- トイレに行く回数が増える、頻尿
- 頻繁にトイレに行くが少ししか排尿しない
- 排尿時に痛いのか鳴く
- 血尿が出る
- トイレ以外の場所で漏らしてしまう
- 尿が出ない
など、原因により異なりますが、排泄に伴う様々な症状が見られます。
猫下部尿路疾患(FLUTD)の治療
原因の病気に合った治療を行います。
猫下部尿路疾患(FLUTD)の予防
再発する場合も多いため、治療と予防を兼ねて、以下のようなデイリーケアが大切です!
- 食事療法
- 罹患した病気や現状に合わせた療法食を与える
- 結石の材料となるカルシウム、マグネシウムを多く含む煮干しやじゃこなどのおやつは要注意
- 水を十分飲ませること
尿量を増やす、尿を濃くしないことが予防のポイント!あまり水を飲まないネコちゃんには、工夫が必要- 適宜入れ換え、新鮮な水を与える
- 器を変えてみる(陶器が好まれる傾向あり)
- 流れる水や循環式にする
- 水飲み場を複数設置する
- 食事に水や鶏肉などのゆで汁をかけて一緒に摂取できるようにする
- ウェットフードを足す など水を飲む機会を増やし、好みを探ってみる
- 快適なトイレにする
排尿を我慢してしまう環境を避け、落ち着いて使えるようにする- こまめな掃除で清潔に保つ
- 一頭あたり1カ所以上のトイレ
- 大きくオープンなトイレ
- 適度な運動
肥満は悪化要因となり得るため、体重管理を行い、肥満を予防する- 積極的に遊ぶ
- キャットタワーなどで上下運動を促す
- 定期的に通院する
FLUTDは再発することがよくあるため、定期的に尿検査など行いながら現状に合わせた維持療法を行いましょう。投薬や食事療法の継続またはやめるタイミングもご相談ください。
膀胱炎
膀胱炎とは
原因により、感染性膀胱炎、明らかな要因が不明な特発性膀胱炎、結石による膀胱炎などがあります。
- メスは尿道が太くて短いため、オスに比べると体内に細菌が侵入しやすくかかりやすいといわれています。
- 膀胱炎によって膿や血の塊などができることがありますが、オスはメスより尿道が大変細いため、それらが尿道に詰まってしまう可能性がメスより高くなり、尿道閉塞のリスクがあります。また、尿石症のネコは尿中に結晶や石があるため膀胱壁に傷がつきやすく、より膀胱炎になりやすいです。
- 肥満も膀胱炎の発症要因の一つです。
- 原因により異なりますが、再発率も高く、慢性経過をたどることもしばしばあります。繰り返し炎症が持続してしまった膀胱は壁が厚くなり、治癒に時間を要します。
- 猫で多くみられるのは、明らかな原因が不明な特発性膀胱炎で、約6割を占めています。
- 特発性膀胱炎では明確な発症要因は明らかにされていませんが、膀胱粘膜の異常やストレスに対する防御反応が弱いといった要因で発症すると考えられています。
尿石症
尿石(尿路結石)とは
何らかのきっかけで、尿中の尿石の元となる成分が結晶化し、さらに結晶が固まり結石となってしまうことをいいます。
代表的な尿石の種類では、ストルバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)とシュウ酸カルシウムが多く、膀胱や尿道を傷つけたり、尿道を塞いだり(尿道閉塞)します。それぞれ、結晶化しやすい尿pHや好発年齢が異なります。
ストルバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)
1~6歳のネコに多くみられ、尿のpHがアルカリ性になると結晶化しやすくなるため、尿を酸性に調整する必要があります。
ストルバイト結晶:周りの丸い小さな粒は血液成分の赤血球
シュウ酸カルシウム
7歳以上のシニアの猫に多くみられます。尿pHが酸性になると結晶化しやすいため、尿をアルカリ性に調整する必要があります。
治療は結石の種類に合わせた食事療法です。定期的な尿検査を行い、検査結果に合わせて療法食やFLUTD向けの一般食などに調整します。
尿道閉塞
尿道結石とは
尿道が細く長い雄猫でみられることがほとんどで、命に関わる緊急事態です。
尿は、体内の老廃物や有害な質を排出する役割があります。閉塞によって全く排尿できなくなると、その老廃物が排出されず、尿毒症や急性腎障害を招き、半日~2日で危険な状態に陥ります。
治療は閉塞の解除が第一です。尿道カテーテルなどによって閉塞解除ができれば、尿毒症などの病態に合わせて、点滴などの処置を行います。食事療法も合わせて行います。
閉塞解除が不可能な場合や何度も再発してしまう場合には、太い尿道を作成する尿道ろう手術を行うこともあります。