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フィラリア症(犬糸状虫症)について

フィラリア症は、犬の体内に犬糸状虫という寄生虫が入り込み、心臓や肺の血管に寄生することによって生じます。症状は、咳、運動を嫌がるなどですが、寄生数が多く重度の場合には、腹水貯留、呼吸困難などが認められ、進行すると命に関わる恐ろしい病気です。
投薬を行うことで確実に防げる病気のため、感染経路を理解し、適切に予防しましょう。

感染経路・サイクル

犬糸状虫は、蚊が媒介して以下の経路で感染を引き起こします。

感染犬に対する蚊の吸血
フィラリア症に感染した犬の血液中にはミクロフィラリア(mf)という子虫が存在し、吸血の際に蚊の体内に取り込まれます。
蚊の体内でのmfの成長
mfは蚊の体内で成長して2回脱皮を行い、犬への感染力をもった感染子虫となり、蚊の次の吸血行動を待ちます。
蚊の吸血による感染
蚊が犬に対して吸血を行う際に、感染子虫が皮膚より侵入します。体内に入った後には、皮下組織や筋肉内でさらに2回脱皮し、1~2ヵ月ほどかけて第5期幼虫に発育します。
フィラリア子虫の移動と成熟
第5期幼虫は犬の静脈内に移行し、最終的には心臓および肺動脈に移動して、3-4ヵ月かけて成虫(10~30cmのそうめん様の虫体)になります。
成虫はmfを生み、血液中にmfがみられるようになります。

予防について

フィラリア症予防薬の目的は、血管内に移行する前に子虫を駆虫することです。蚊の吸血により感染した子虫が、犬の血管内に移行する前の1~2ヵ月間に予防(駆虫)することが重要になります。そのため、蚊が飛ぶようになってから1ヵ月後から、蚊が見られなくなって1ヵ月後まで、薬の投与が必要になります。
地域により予防時期は異なります。静岡県では予防期間は通常、5月~11月までですが、近年の温暖化により蚊の発生が長期にわたる場合は、12月の予防もお勧めします。

薬投与における注意

フィラリア症に感染している犬に予防薬を投与すると、血管内のmfが一気に死滅してショック症状を起こし、最悪死に至ることもあります。
血液検査によりフィラリア成虫の有無が確認できますので、昨年までの予防が不完全だったり、今年から予防を始めたいという場合には、事前に血液検査の実施をお勧めいたします。

参考文献   家庭動物の医学大百科(PIE BOOK)  イラストで見る犬の病気(講談社)

予防薬の種類

  1. おやつタイプ、経口薬
    フィラリア症と同時に、ノミ・マダニなどの外部寄生虫予防ができるお薬もあります。月に1回の投薬が必要です。
  2. スポットタイプ
    背中に垂らすタイプの外用薬です。こちらも月に1回の投薬が必要です。
  3. 注射タイプ
    1回注射することにより、1年間の予防効果が得られます。1ヵ月毎の投薬という煩わしさからは解放されます。

様々なタイプのお薬がございますので、詳しくは獣医師までご相談ください。

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